第52回全国大学選手権大会1stステージ3回戦〔12月5日〕/福岡工業大学vs法政大学/試合レポート

平成27年12月5日(土) 天候:晴れ 春日公園球技場【福岡】

13:00キックオフ

 多少の風は吹いていたが、天気はまずまずの春日公園球技場。
 両チームとも八戸学院に大勝して臨んだ最終節はセカンドステージ進出をかけた重要な戦いであり、法政大学のキックオフで始まった。

 試合開始より双方のエリアの取り合いが続く。前半11分、法政大学は敵陣ゴール前左サイドラインアウトより、モールを押し込み2番・前島がトライ(5-0)。15番・萩原のゴールも成功し(7-0)と先制した。
 続く14分、法政大学は自陣中央付近モールから左に展開、11番・和田の40m独走で左サイドにトライを決め(12-0)、15番萩原のゴールも成功し(14-0)と法政大学がリードを広げる。
 両チームとも、ノックオン等の細かなミスがある中迎えた18分、福岡工業大学は敵陣22mライン付近右サイドラインアウトから、ドライビングモールを押し込んで5番・松尾がトライ(14-5)。9番・河嶋のゴールは不成功。
 この間も双方とも、ミスによる陣地の取り合いが続いた。
 前半28分、法政大学は敵陣22mライン付近中央のラックより右に展開し、12番・金井のキックパスを14番・中井がサイドライン際ゴール前でキャッチ、廻り込んで右中間にトライ(19-5)、15番・萩原のゴール成功で(21-5)と法政大学が更に引き離す。
 続く32分、法政大学は敵陣密集より出たボールを10番・林がキックパス、インゴール寸前で再び14番・中井が上手くキャッチし、押さえてトライ(26-5)を決めた。15番・萩原のゴール成功(28-5)。
 点差が開きつつあった37分、福岡工業大学は敵陣ゴール前5m左サイドラインアウトのこぼれ球を7番・花田がキャッチし、そのまま飛び込んでトライ(28-10)、9番・河嶋のゴール成功で(28-12)と点差を詰め、追い上げムードが出てきた。
 しかし、終了間際の40分、法政大学が敵陣ゴール前5m左サイドのラインアウトからのモールを押し込んで2番・前島がトライ(33-12)。ゴール不成功で前半が終了した。
 法政大学が先行して得点し、福岡工業大学が点差を詰めてもまた広げられるという展開となった。

 後半、サイドが変わっても、法政大学が若干有利に試合を進めている状況は変わらない。
 後半6分、法政大学は自陣より右に展開して大きくゲイン、敵陣15m付近密集から左に展開、2番・前島が左中間にトライ(38-12)、ゴールは不成功。
 そして後半10分、福岡工業大学は敵陣中央付近密集から抜け出してパスをつなぎ、8番・原田が左中間にトライ(38-17)、9番・河嶋のゴール成功(38-19)。福岡工業大学に追い上げムードが出てきたと思われた。
 ところが後半17分、法政大学は自陣中央5mより右に展開、パスをフォロワーへ上手くつないで、最後は14番・中井のトライ(42-19)、15番・萩原のゴール成功で(45-19)となった。
 法政大学のミスを誘発するような福岡工業大学の懸命のディフェンスが垣間見えた後半25分、福岡工業大学は敵陣ゴール前中央付近、密集より9番・河嶋が抜け出てそのまま中央へトライ(45-24)。ゴールも河嶋が決め(45-26)とじりじり追い上げた。
 後半28分、福岡工業大学の10番・浦川が自陣より密集を抜け出て大きくゲイン、最後はキックパスが再び浦川に通って左隅にトライ(45-31)。
 福岡工業大学がじわじわと詰め寄るが、後半31分、法政大学は敵陣中央右寄り密集より右に展開、最後は14番・中井が右サイドにこの日4本目のトライ(50-31)を決める。15番・萩原のゴールも成功(52-31)し、獲られたら獲り返す構図は変わらない展開となった。
 迎えた後半37分、法政大学は敵陣ゴール前10m左サイドのラインアウト、モールーラックより4番・牧野内が右に飛び込み中央付近にトライ(57-31)。15番萩原のゴール成功(59-31)。
 続いて38分、法政大学が敵陣22m中央付近より左に展開、18番・金子が左サイドにトライ(64-31)を決め、15番・萩原のゴール成功(66-31)とし、ノーサイド。セカンドステージの切符は、法政大学が手にした。

福岡工業大学 法政大学
前半 後半   前半 後半
2 3 T 5 5
1 2 G 4 4
0 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0
12 19 33 33
31 合計 66
反則
4 4 PK 2 2
0 0 FK 1 0
8 合計 5

詳しくはトップリーグ公式サイトへ


  日程 時間 対戦カード 試合会場
第1戦 11月22日(日) 12:00 八戸学院大学
(北海道・東北代表)
14-75 福岡工業大学
(九州代表)
いわきグリーンフィールド
第2戦 11月29日(日) 10:00 法政大学
(関東代表)
163-0 八戸学院大学
(北海道・東北代表)
熊谷スポーツ文化公園

記者会見

福岡工業大学

福岡工業大学

〔監督〕宮浦成敏
法政大学の重いフォワードは、我々の分析よりも更に威力が強かった。我々が勝つにはワークレートを上げ、しっかりしたディフェンスをするしかない。
法政はブレイクダウンも強いし、一人一人のボールキャリア能力も高いので、我々はチャレンジャーの気持ちで戦った。
ブレイクダウンのところ、セットピースでもかなり圧倒されると思ったが、スクラムを低く組むことで思った以上に耐えられた。法政大学の弱点であるディフェンスに付け入りたかったが、思わぬプレッシャーでハンドリングエラーなどしてしまった。これは関東で揉まれたチーム相手のプレッシャーだった。
前半は風上にいたがエリアがとれなかった。前半に得点がもう少し取れれば、最後までもつれた試合になったと思う。

〔主将〕河嶋凛太郎
自分たちが準備してきた事をやり切る事ができ、早いプレッシャーで相手のミスを誘うことが出来たが、逆にそれと同じかそれ以上に自分たちがミスをしてしまい、せっかくディフェンスから掴んだチャンスを潰してしまった。そこが関東・関西の高いレベルのチームとの差かと思う。
昨年、朝日大学に負けてからこの一年フィジカルの強化をしてきたので、フィジカルの部分では差は縮まったように思う。ただその分ワークレートが少し下がってしまったところがあるので、来年は両方を強化でして挑みたい。

――プレーでうまくいった部分を具体的に

河嶋 ディフェンスからしっかりプレッシャー掛けてターンオーバーし、アタックに持って行くところまでは良かったがそこからミスがでた。「ディフェンスからアタックへ」のコンセプトは巧くいったと思う。

――5トライ31得点の結果については?

宮浦 ディフェンスからダブルタックルにいってボールをスローダウンさせ、そこからカウンターアタックを狙っていく、というコンセプト通りにはなったが、ハンドリングエラーなどが多くて得点に結びつけられなかった。
法政はディフェンスが良くないと見ていたので、4本取れればいいかなと思っていたが、結果的に相手に取られすぎた。

河嶋 最初にモールから自分たちが取れたことで、上手く流れに乗れたかと思ったが、そこで自分たちからどんどん前進していければ、もっと取れたと思う。

――今回、大会の方式が変わり関東5位との対戦だったが、この方式が続くと今後、九州のチームが関東のチームに勝てる見込みは?

宮浦 タレントの流出が大きな問題。福岡を中心に高校までは全国トップ4くらいのレベルだが、魅力を感じる大学への流出が止まらない。我々は残った人材を鍛え上げていくしかない。
私だけのポイントだが、このレベルから脱却するのは非常に難しいを思う。タレントを九州のラグビーに残し、その人たちを高いレベルで育てないと無理だと思う。
もしくはもう少し交流して、選手が地元に残っていても関東・関西のチームともっと試合をする事ができれば、レベルの差がもう少し埋まっていくのではないかと思う。
また、一極集中で集まるので、出場機会もあまり得られず埋もれている選手がたくさんいてもったいない。選手が分散して全体のレベルが底上げすれば、もっと良い試合、良い大会になると思う。
あともう一つは、協会が中心となって高校生のうちに一貫したスキル指導をしっかりやってほしい。スキルが無いと大学からやり直さないといけないため、時間がかかる。特にセブンズは早くやらないと、スピードスターは年齢が決まってくる。やるべき年齢層のときにやるべき事をしっかりやっていかないと、世界から離れていく。実際システムが無い。

――キャプテンはなぜ福工大に?また、この4年間やってきて歴史は変えられたか?

河嶋 関東からの誘いはあったが、片親なので地元にいたほうが良いと思った。全国大会で関東・関西のチームと対戦する機会はあるし、先輩もたくさんいて魅力的だという話も聞いたから。
1年生のときからメンバーに入れてもらい、2年生の春にニュージーランドに一ヶ月留学させてもい、自分の力を導き出してもらった。出場機会にも恵まれて、経験を積むことで力がついた。
冬に選手権に出て、九州の人間が関東・関西に通用するんだと見せつける事が出来たので、自分の中では満足している。

法政大学

法政大学

〔監督〕谷崎重行
細かなところをミスしない、マイボールを大事にして継続する事を目標に立てていた。しかし最初の15分は2本くらいラインアウトから取れなかったところ、バックスも取れなかったところから動きが止まってしまい、立て直す事ができなかった。
福工大のディフェンスがすごく前に出て来てたので、崩しに行こうとしたがなかなか得点ができなかった。

〔主将〕吉村公太朗
序盤、自分達のペースに巻き込めずにそのままずるずるといってしまった印象だ。
そういう雰囲気がチームの中にあったので、セカンドステージに向けて修正していかなければならない。

――「ミスが多かった、自分達のペースに巻き込めなかった」とあったが、その要因は?

吉村 得点すべきところで出来なかった。序盤のモールのミスのところや、自分達が得意としている大外に振って折り返すところでボールを継続出来なかった。 自分達のミスから相手にペースを与えてしまった。

――今回、九州・福工大との対戦して、関東との差は縮まっているという印象はあるか?

谷崎 福工大の一番のマイナス点は競争相手がいない、ゲーム数が少ないこと。
確かに今日は前に出ていたが、もっと当たりの強いチームと厳しいゲームで揉まれ、ゲーム感を培っていければ良いと思う。

――個人的に、福岡に戻って来て試合をしたということに感想は?

谷崎 全くない。 それより、このグラウンドはキツい。サッカー用の人工芝なので、滑りやボールの弾みなど戸惑ったところがある。

――フルバックの中井選手を今日はウィングで起用したのは?

谷崎 彼の地区というのもあるが、彼の攻撃力、初めての個人のチャレンジというところで。

――今日のキックパスは個々の判断で?

谷崎 今日は彼らの判断だった。

――セカンドステージに向けて強化していく点、修正する点、意気込みと併せて

谷崎 去年の最終戦が帝京に90点で、今年のスタートが120点。また帝京とできるのでぜひ詰めたい。
80分しか時間はないが、同じ大学生同士だ。

吉村 ブレイクダウンでミスが多かった。
気持ちの弱い選手もいるので、自覚を持って立て直して臨みたい。

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